医療施設、介護施設双方にとって不足している看護師。潜在看護師を再教育などによって再就職を促す活動や、大学を増やすことによる新就業者を増やすなど、看護師の数を増やす動きが活発になっています。

しかし、平成12年に介護法が制定され、介護施設での看護師需要が劇的に増加。看護師が増えても追いつかないほどの看護師不足が日本中で発生しています。売り手市場で転職がしやすい看護師ですが、セカンドキャリアとして「介護施設」を選ぶ人が増えていることをご存知ですか?

介護施設の選択が増えているのは事実なのか?

介護施設で働く看護師の数の推移を見てみましょう。

graph-nurse

介護保険法制定以降、介護施設で働く看護師の数が劇的に増えていることが分かります。その数なんと7倍です。介護施設で働く看護師の年齢分布から、若い世代よりも中高年層が増えていることもわかっています。

介護施設における年齢分布は、45~49歳が最も多くなっています。病院と違い、夜勤や当直、長時間勤務は少ない傾向にあり、家庭を大切にするというライフスタイルを守りながら働ける様子がうかがえます。また、介護施設側も、病院勤務経験者を求めるケースが多くなっています。急性期のような短期間でケア度の高いケースは少ない一方で、急変時の対応や医学的判断が求められることに加え、様々な合併症を持つ人へのケアなど、高度な実践能力が要求されるためです。

old-nurse-with-old-lady

看護師にとっても介護施設は「人気の職場」になっている

とはいえ、若い看護師さんからすると「わざわざなんで介護施設で?」と思われるかもしれません。また、医師がいない状態で日々判断を必要とされる現場はストレスに感じる可能性もあります。しかし、病院と違ったやりがいを見つけられたり、ライフスタイルを大切にできるなど、メリットも多く、介護施設は人気の職場になっています。

どこで働きたいかという意識調査を見てみましょう。グラフの左側、「病院で働きたい」を見てみると、看護師の場合は微増、逆に准看護師は半分になっています。一方で右側、「介護施設で働きたい」という意識は看護師、准看護師ともにわずか八年で大きく伸び、病院で働きたいと考える人数を上回っていることが分かります。特に准看護師の伸びはすさまじく、20倍以上になっています。

graph-wheretowork

雇用条件の良い施設が増えている

何をもって雇用条件が良いと定義するかは人それぞれではありますが、今回は「給料」と「労働環境」にスポットを当ててみましょう。主に看護師・准看護師が介護施設に目を向けるのは、病院でのハードワークに疲れ、セカンドキャリアを考えたときだと言われています。

病院以外の転職先としては、下記が考えられます。

  1. 診療所
  2. 介護施設
  3. 行政(保健所や学校含む)
  4. 治験コーディネーターなど資格を活かした一般企業
  5. ヘルスケア領域のIT企業(クリンタルなど)

そのほか幼稚園などもありますが一旦は除外します。こういった転職先を考えた際、病院と比較するとどうしても給料では劣ります。これらの選択肢の中では、介護施設は必ずしも給料が安いとは言えず、ちゃんとしたエージェントと転職活動をすれば満足のいく水準を求められるでしょう。

また、労働条件に関しては、介護施設にもよることは確かですが、土日休みがある職場が多く、夜勤や長時間労働があるケースは稀です。そのため、家族と休日や生活リズムを合わせることができるようになります。

今後ますます拡大していく介護領域にも、率先して就業してくれる看護師さん、准看護師さんが増えてくれるといいなと願っています。

桑原 誠二
Author

コメディカル、介護職員に特化した人材エージェント勤務。元はケアマネージャーとして介護施設で6年の経験あり。医療、介護人材が、転職によってよい人生を歩めるようにするために日々奮闘中。