現在の医療はチーム医療が基本です。チーム医療では、医師を中心に看護師、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師、栄養士、リハビリテーション職員(OT、PD)、など各専門職が一丸となって診断・治療を行います。チームの一員となる臨床検査技師とはどういった職業なのか。なるにはどうしたら良いのか。

臨床検査技師とは…病気の早期発見、予防医学の専門家として

臨床検査技師は、医師の指示のもと、微生物的検査や血液学的検査、病理学的検査、心電図、脳波検査などの生理学的検査などさまざまな検査を行い、診断や治療の基礎となるデータを提供する役割を担います。検査結果が医師の診断を大きく左右する非常に重要な役割です。活躍の場は、病院や産科・レディスクリニック、整形外科(MRI)、臨床検査センター、さらには保健所、衛生研究所、健診センターなど多岐に渡ります。

チーム医療の中でも非常に重要なポジションを担う
チーム医療の中でも非常に重要なポジションを担う

治療の基準となるデータを揃える

臨床検査技師は、医師もしくは歯科医師の指示のもと、患者さんの身体を検査し、得られたデータを分析・評価し、医師に報告します。臨床検査のデータをもとに診察されるため、診療において非常に重要なものとなります。また、症状が現れる前の異常をキャッチすることもあり、病気の早期発見の専門家であるとも言えます。臨床検査技師には、単純にデータを収集、分析する能力だけでなく、病気の早期発見をする役割も大きく期待されているのです。

臨床検査技師になるには?

臨床検査技師になるには、高校卒業後、その養成課程がある短期大学(3年制)、専門学校(3年制)、もしくは大学(4年制)で学び、所定の過程を終了して受験資格を得ます。そして、臨床検査技師国家試験に合格しなければなりません。国家試験に合格後、免許申請を行い、臨床検査技師名簿に登録されてようやく臨床検査技師として働くことが可能になります。

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臨床検査技師国家試験

試験は年に1度、例年は2月に行われ、3月が合格発表です。試験の詳細は毎年9月ごろに厚生労働省から発表がありますので、そちらを確認しましょう。試験は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県で行われます。

臨床検査技師のキャリアとは

苦労して臨床検査技師になったとして、しっかり稼げるのかどうか、一生続けられる仕事なのかどうか、気になるところですよね。

臨床検査技師の平均年収

年収ラボによると、臨床検査技師の平均年収はおよそ468万円。平成26年のサラリーマン全体の平均年収が416万円なので、1割以上は高い相場になっています。また、資格別ランキングでは14位にランクイン!全体のランキングとしては下記のようになっています。

1位:医師 1098万円
2位:弁護士 1094万円
3位:公認会計士 717万円
10位:技術士 596万円
14位:臨床検査技師 468万円
20位:准看護師 395万円
30位:調理師見習 262万円

時給換算だと1,843円となっています。平均年齢は38.6歳、勤続年数は10年以上と、資格を取得した後は安定して長期間働きやすい資格だといえそうです。また、勤続期間が男性のほうが長いためか、男性の平均年収は513万円と、女性の447万円よりも66万円も高い結果が出ています。

海外における臨床検査技師の資格

臨床検査技師の方の中には、「海外でこの資格を活かしながら働きたい」と移住を考える方もいらっしゃるかもしれません。海外で臨床検査技師として働くためには、その国ごとの資格制度に従わなければなりません。

海外における臨床検査技師の検査内容と名称

日本では検体検査、生理学的検査、静脈採血もできる臨床検査技師ですが、日本以外の国の殆どでは、検体検査のみが行えることがほとんどです。

また、名称も国によって異なります。英訳した際の一般名は「Medical Technologist」ですが、各国により正式名称は異なります。例えば日本の厚生労働省が発行する臨床検査技師免許の英訳は「Clinical Laboratory Technician」ですし、イギリスやスウェーデンでは「Biomedical Scientist」、カナダでは「Medical Laboratory Scientist」、ギリシャでは「Medial Laboratory Technologist」など、呼称はそれぞれ異なります。アメリカに関しては臨床検査技師に応対する国家資格は存在しておらず、州によって名称が異なるのでより一層の注意が必要です。

アメリカにおける臨床検査技師の制度

海外において臨床検査技師としての就業を望む場合、半数以上の方がアメリカを志望するのではないでしょうか。アメリカでは運転免許を始め様々な免許を、国ではなく各州が独自に発行・認定していることが少なくありません。そのため、詳細に関しては各州ごとの確認が必要です。

さらに、アメリカでは全州のうち、臨床検査技師の業務(アメリカでは微生物検査、病理組織検査を含む検体検査のみ)を行うのに州の免許が必要なのは13州のみとなっています(州の詳細はこちら)。それ以外の州では、ASCP(American Society for Clinical Pathology)、AMT(American Medical Technologies)、AAB(American Association of Bioanalysis)の三団体のうちいずれかの試験に合格することで、臨床検査技師に認定され、免許として認識されます。

日本からアメリカの臨床検査技師試験を受ける

アメリカ外に住んでいても、受験資格を満たしていれば各試験の受験は可能です。受験資格にはNAACLS(National Agency for Clinical Laboratory Sciences)もしくはCAAHEP(Commission on Accreditation of Allied Health Education Programs)が認定した臨床検査プログラムを履修しなければなりません。今までは履修の壁が高く、実現はかなり困難でしたが、現在ASCPは国際資格化されており、アメリカで履修していなくても日本で同水準の履修をしていればそれが認められるようになりました。実際に日本人の合格者が出るなど、臨床検査技師として渡米することが徐々にではありますが実現できる世界になってきています。

桑原 誠二
Author

コメディカル、介護職員に特化した人材エージェント勤務。元はケアマネージャーとして介護施設で6年の経験あり。医療、介護人材が、転職によってよい人生を歩めるようにするために日々奮闘中。